「もう遅いから寝たらどうだ?番ならオレが最初にするから。」
「うん、もうちょっと。」
赤々と燃えるたき火を前に、リナは星空を眺めていた。
「一体また何を始めたんだよ?」
ガウリイはおイモを焼こうかどうか考えている。今焼いたらみんなリナに食われちまうな。
「流れ星、見えないかな、と思って。」
立てた膝を両腕で抱え、ガウリイの隣に座るその姿は何だか頼りなげで、ふとガウリイはリナの顔を盗み見る。
「流れ星?」
「うん。」
「何で。」
「あのね。流れ星を見つけて、それが全部流れる前に願い事を言えたら叶うって話、聞いたことないの?」
「・・あるけど。まさかお前。」ガウリイが思いきり引く。
「それで流れ星探してんのか?!」
「何よ、その引きは。」
じろりと睨まれ、ガウリイは頬に汗を垂らす。
「いや。まさかお前がそんな可愛いこと言うなんて思・・・」
ばぐうう。
「あ、あたしだってね、星に願いをかけたくなるよーなオトメちっくな時もあんのよ!!」
「そ、そりゃしつれーしました・・・」半分地面にのめり込みながらガウリイが謝る。
「で、何をお願いするんだ。」
「え。・・・もう復活したの?」
「体力だけが自慢なもんでね。」
「大きな図体でスネないでよ、気持ち悪いから。」
「お前な。」
「ヒミツよ。」
「え。そうなのか?」
「うーーーーん。」リナは空を見上げたまま、小首を傾げる。
「あると言えばあるような、ないと言えばないような。」
「なんだそれ。」
「いいじゃん、別に。」
そだ木がぱちぱちとはぜる音をバックに、二人の夜の会話も更けていく。ほわほわと暖かいのは、たき火のせいだけじゃないんだろうな。
「あ。流れた。」
「ウソ。どこどこ?」
ガウリイが指差した空の一角を眺めようと、リナはガウリイの膝に手を掛けて仰ぎ見る。「あそこ。」
「あ。ホントだ・・・・きれい・・・」
「・・・だな。」
見つめるうちに一つ、また一つと星が流れる。一瞬の光芒を放ち大気圏で燃え尽きる、あえかな星屑たち。星が降るような、という形容がふさわしい夜だった。
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