その小さな身体には、エネルギーがたくさん詰まっているように思えた。
したたかに、力強く、伸びやかに生きて行く少女。
だから。
その瞳が色を失い、指先から萎れるように。生きる戦いに負け、その命を手放すことなど思いも寄らないことだったのだ。
すべては一瞬のでき事だった。
遺跡を調べていたある日の午後、突然現れたブラス・デーモン。
ゼルとアメリアと離れ、ガウリイと別行動をしていたリナ。襲ったのは、予想を裏切る速度と魔力を備えたヤツだったのだ。
強行軍の疲れ。油断。理由はともあれ。
瞬間、ガウリイにも捉え切れないスピードで爪が笞のようにうなり。一閃したかと思うと、背後のリナの身体がふわっと宙に浮いた。
鮮血。ガウリイの目の前で。
手を出すひまもあらばこそ、彼女はごろごろと地面に転がった。悲鳴のひとつも上げずに。
「リナ!?」
まさか。ウソだろう?
目の前で起こったことなのに。全く信じられない。
「リナ!」
答えはなく。
今にも『だあいじょ〜ぶよ、こんくらい。』と言って起き上って来そうなのに。その打ち捨てられた身体はぴくりとも動かない。
「リナ!!!!」
ガウリイの叫びが、遺跡中に谺する。
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