「いつかどこかで。」
1P

 某テレビ局、某スタジオ。
 そこでは「スレイヤーズNEXT」というドラマを収録していた。折しもその日はクランクアップ。
 
 『さ、出発よ!』
 『出発って、どこ行くんだよ?』
 『そんなのわかんないわよ。わかってるのは、立ち止まらないこと、誰にも止められないってことで、まずはメシだ〜〜〜〜っ♪』
 『待って下さいよ〜〜〜』
 『今度はお供します〜〜〜』
 『ったく、相変わらずだな、あいつは。』
 『メシでシメかぁ?』
 『そだぁ♪』


ぱんぱん!ぽ〜〜〜んっ!

 「お疲れさまでした〜〜〜〜〜〜っ♪」

ぱちぱちぱち!

 「まずは主演のリナさん、花束をどうぞ〜〜〜♪」
 「わあ、すごい。ありがとうございます。」
 「監督、これはオレ達から。」
 「お、僕にもくれるんですか。嬉しいなあ。」
 「いやあ。やっぱり、花は女の子のが似合うなあ。」
 「ゼルガディスさんったら、またリナさんを口説こうとしてる。」
 「おいおいアメリア、もう芝居は終わったんだぜ?もう俺がどうしようと自由だろう。例えば・・・・今夜、メシでも食いに行かないか。」
 「見境のない人ですね。悪いですけど、先約があります。それに、ナンパ師のゼルガディスさんと付き合っていたら、身が持ちません。」
 「くすくす。あんた達、すっかりその名前が定着しちゃったみたいだね。」
 「あ。スタッフの方々も、ホントにお疲れさまでした。」
 「なになに。これでも局一番の視聴率が取れた番組を作ってきたんだ。次のシリーズも頂きだぜ!」
 「え。次のシリーズ、あるんですか。」
 「あれ。リナさんは聞いてなかったんですか。次はですね、えっと。『スレイヤーズTRY』ですね。」
 「・・・・。」
 「・・・・。」
 「あれえ?ガウリイとリナ、見つめ合っちゃってなんか怪し〜な〜。」
 「ほらほら、ゼルガディスさん。絡まない方がいいですよ。」

 ではここで、前日の役者達の光景を覗いてみよう。


 ********


 「お疲れさまでした〜♪」
 「お疲れさまでした〜♪」
 「あ。ど、どうも。お疲れさまです・・・。」

こつこつこつ。

 「ねえ?」
 「なに?」(ひそひそ。)
 「今すれ違った人、『スレイヤーズ』のリナ役の人だよね。」
 「それがどうかしたの?」
 「あのキャスティングさあ。最初は皆、首を傾げてたのよね。どう考えてもミスキャストだって。」
 「なんで?」
 「だってさあ。本人の性格っていうか、イメージが役とかけ離れすぎてんのよ。
 さっきのリナ役の人だって、今どき珍しい清純派っていうの?売り出し中の新人アイドルだしさ。
 ゼルって役の人は、あんな固い役(笑)やってるけど、業界じゃ有名な女ったらしな訳よ。
 アメリアをやったのは、ちょっと冷めた感じの個性派女優。今までは舞台で賞を総ナメにしてきた実力派よ。
 それから。
 何と言っても、ガウリイを演じてる人は、役みたいに全然ボケてなくて、モデル出身の物静かな感じのタレントなの。
 あんまりバラエティーとか出てないけど、何故かワイドニュースのゲストコメンテーターとして、よく引っ張り出されるてるわよ。実は海外のことに詳しいらしいの。・・・・これは噂だけどね?」
 「なになに?」
 「実は、在日スウェーデン大使の御子息なんじゃ、という話よ。」
 「うっそぉ。なんでそんな人がタレントなんかやってんのよ。」
 「そこまでは知らないわよ。でもちょっと、ゲットできたら玉の輿ってやつぅ?」
 「いや〜〜〜ん♪うちのポケピに教えてやんなきゃ♪」


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